2025.02.24
こんにちは!サンプロ広報の小淵です。
サンプロでは「2050 STANDARD HOUSE PROJECT」という2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、新時代の標準となる住宅を考え、情報共有することを目的としたプロジェクトに参画しております。
2025年初めての1月の発表では、住環境 × 健康の研究をされている慶應義塾大学の伊香賀名誉教授に『断熱が健康に与える研究結果』の講演をしていただきました。
伊香賀先生のお話では「断熱して家中が暖かくなることで、快適かつ健康的に暮らせる」という事実を、興味深い研究結果と共にお話していただきました!
日本の断熱事情や住宅内のケガ、高血圧への影響まで、目から鱗なお話ばかりです👀
今回は伊香賀先生のお話を サンプロの冷暖革命メンバーである底冷博士&レイ&ダンと一緒にご紹介しようと思います。
第1弾は健康寿命篇。ご年配の方や健康に不安のある方は必見です!
【講演していただいた方】
【ブログの案内人】サンプロ冷暖革命CMでおなじみのメンバー
伊香賀先生がまず初めに見せてくれたのは、「冬季超過死亡率」のデータ。
*1:総務省「住宅・土地統計調査2008」と厚生労働省「人口動態統計2014年」都道府県別・月別からグラフ化
*2:4月から11月の月平均死亡者数に対する12月から3月の月平均死亡者数の増加割合(%)
一番、冬季の超過死亡率が低いのが北海道で10%、一番高かったのが、栃木県で25%でした。
グラフ全体で見渡しても、寒さが厳しい地域ほど冬季の超過死亡率が低く、温暖な地域ほど高いという意外な結果に・・・。
伊香賀先生によると、この傾向では欧州でも確認されているとのことです。
【欧州の冬季超過死亡率】
低い国 TOP2
・フィンランド:10%
・ドイツ:11%
高い国 TOP2
・ポルトガル:28%
・スペイン:23%
伊香賀先生は、暖かい地域ほど断熱性能が低い住宅に住んでいる場合が多いため冬季の死亡率が高くなるとおっしゃっておりました。そのデータが以下のものです。
断熱住宅普及率が高いほど、冬季超過死亡率が低いという結果に。
つまり、断熱された暖かい家では心疾患・脳血管疾患・呼吸器系疾患が起きにくくなり、死亡率が低くなっていることがわかります。
日本でもようやく「高断熱の暖かい住まい=健康」という常識が浸透しつつありますが、既存住宅を断熱リフォームして健康的に暮らすという考えを持っている人は少ないです。高齢化が進む日本において、住宅断熱という予防を実施し健康寿命を一日でも長く延ばすことは重要です。
続いて教えてくださったのが、住宅内の事故死。
不慮の事故で亡くなられた方のグラフをご覧ください↓
青が交通事故で亡くなられた方、赤がそれ以外の原因で亡くなられた方です。
交通事故の死亡者は年々減少傾向にありますが、家庭内の事故死は増加傾向にあります。
中でも、転倒転落死にご注目ください。
外で亡くなっている人と、家の中の何もない床で転倒し亡くなられた方が同じ人数とは信じがたい結果です。。
この断熱と転倒が関係していることが判明したデータを伊香賀先生がご紹介してくれました。
お家の断熱リフォームを行う前と後で比較した実験です↓
注意してみていただきたいのが、お部屋の温度ではなく、お部屋の足元に近い温度が18℃以上か未満かで分けているところ。
足元近くの温度が18℃未満の住宅では2倍以上も転倒していることが分かります。
断熱しなくても暖房をガンガンに付ければ良いとお考えの方も多いかもしれませんが、足元近くの温度は暖房ではなかなか上がりません。断熱リフォームをすることで、空間全体をむらなく暖めることができるのです。
年々増加している熱中症による救急搬送。
2024年度は熱中症救急搬送された方が全国で97,578人いました。そのうちの38%は住宅内にいて熱中症を発症したそうです。
断熱性の高いお家は、エアコンを強力につけなくてもよい場合が多く、経済的で健康的です。また、断熱性が低い家に比べて、エアコンをつけなくても快適に過ごせることも多いので、酷暑対策として非常に有効です。
地震がたくさん発生する日本。
災害への備えというと、耐震性能を上げたり、食料を備蓄することに目が行きがちです。
実は東日本大震災の死者数のうち、4割が災害とは直接関係ない死因であった災害関連死でした。
2024年1月に発生し能登半島地震では、災害関連死で亡くなった方が、地震に直接関連して亡くなった人の1.2倍で、亡くなった原因は「循環器系・呼吸器系・消化器系+感染症」が67%でした。
日本は災害が沢山起こる国ですが、「避難生活を健康的に過ごせるよう工夫しなくてはいけない」というところへの意識が低いように感じます。耐震性能と断熱性能が良いお家に住んで、災害発生時も災害後も命を守りましょう。
高血圧というと運動習慣や食習慣の乱れによって引き起こされるとされておりましたが、実は住宅の断熱環境も要因になっていることが次のデータから明らかになりました。
※1:JSH2014(日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2014)
※2:その他の変数は、本調査で得られた平均的な男性または女性のデータをモデルに投入
野菜(よく食べる)、運動(なし)、喫煙(なし)、飲酒(男性:毎日/女性:ほとんど飲まない)、降圧剤(なし)、BMI/塩分チェック得点/睡眠の質/睡眠時間/前夜の飲酒有無(男女それぞれ調査対象者の平均値を投入)、外気温/ 居間寝室温度差(全調査対象者の平均値を投入)
80歳男性を見てみると、起床時に室温が10°Cの場合/最高155 mm Hg なのに対し、室温が20 °cの時は最高血圧が140 mm Hgに下がっております。
さらに断熱リフォームをすることにより、血圧が上がりにくくなるというデータも教えてくださりました。
なんと、断熱リフォームをしなかった人たちに比べて、血圧の上昇が半分で済んだそうです。
そのほかにも脂質異常症の発症が、就寝中の室温を18℃以上にすることで3割に抑えられ、夜間頻尿の発症も18℃以上で4割に抑えることができます。
断熱リフォームにご興味のある方は下記のリンクからお問い合わせください。
伊香賀先生、貴重なお話をありがとうございました!
第2弾は【女性と子供の健康篇】です。生理痛にお悩みの方やお子様が風邪をひきやすい方、ぜひ見てください。