信州の秋の贅沢!松茸文化を次世代へ vol.6【松茸山 二幸園】
2025.08.05
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信州の秋の贅沢!松茸文化を次世代へ vol.6【松茸山 二幸園】

こんにちは。
サンプロ広報の小淵です。

信州には秋限定で「松茸小屋」がオープンします。
松茸の名産地として知られる上田市塩田平の周辺には、その味を求めて県内外から多くの人々が訪れる松茸小屋が軒を連ねます。

今回はその中でも、全国に根強いファンを持つ名店「松茸山 二幸園」様を訪ね、松茸小屋の歴史や美味しい楽しみ方についてお話を伺いました。

 

【今回お話を伺った素敵な信州人】

関 啓子さん

「松茸山 二幸園」3代目店主。「家族三世代、誰もが気兼ねなく楽しめる場所にしたい」との想いから、店舗の美化や快適性の向上はもちろん、バリアフリー化も推進。お客様一人ひとりへの温かいおもてなしを大切にされている。

 

松茸山 二幸園

住所:〒386-1213 長野県上田市 古安曽広山1394
公式HP:https://nikoen.jp/
信州上田の豊かな自然の中に佇む、料理店「二幸園」。
昭和26年の創業以来、長きにわたり食通たちに愛され続けてきました。秋には、多くの人々が心待ちにする香り高い松茸を使った専門料理を、そして春から夏にかけては、信州の旬を活かした彩り豊かな季節料理を提供。訪れる人々に、信州の四季を映した最高の食体験を届けてくれる名店です。

 

松茸の名産地・上田市塩田平と「松茸小屋」文化

長野県上田市にある塩田平は、歴史・文化・自然が豊かに調和した非常に魅力的な地域。
鎌倉時代、幕府の要職にあった北条氏の一族(塩田北条氏)がこの地を治め、鎌倉から仏教文化や学問などを持ち込みました。その影響で多くの神社仏閣が建立され、現在も国宝や重要文化財が数多く残ることから「信州の鎌倉」と称されています。

そんな風情ある塩田平は、実は日本有数の松茸の名産地。この地には赤松林が広がり、秋になると豊かな実りをもたらします。そしてこの地域には、秋限定で開かれる「松茸小屋」があり、専門店として旬の松茸を様々な調理法で味わい尽くせると、毎年全国から多くの人々が塩田平に押し寄せます。

小淵) 塩田平の松茸小屋は、いつ頃からあるのでしょうか?

関さん)1950年頃からです。当時は塩田平で毎年何トンもの松茸が採れたので、「この恵みを使って松茸料理の専門店を始めよう」と周辺の住民たちで話がまとまりました。組合も作り、10軒ほどの松茸小屋が開店したのが始まりです。

松茸の産地といえば、長野のほかに京都や岩手も有名です。その中でも信州・上田が広く知られているのは、この「松茸小屋」という文化そのものがあるからではないか、と関さんは語ります。

関さん)直径10km圏内に松茸専門料理店が10軒ほども集まっているのは、おそらく上田市だけです。他の有名な産地でも、意外と1〜2軒しかないことが多いんですよ。

上田の松茸小屋は、単に料理を提供するだけでなく、松茸の文化を伝える発信源としての役割も担っているのです。

小淵)松茸は秋の贅沢ですよね。私の周りの信州人も「今年は豊作らしい」など、毎年の収穫量を気にしている印象です(笑)。時代と共に、採れる量も変わってきているのでしょうか?

関さん)松茸小屋が始まった1950年頃に比べると、収穫量はかなり減っていますね。松茸がどんな条件でたくさん採れるか、ご存知ですか?

小淵)いえ…分からないです。

関さん)松茸の生育にベストなのは、梅雨にしっかり雨が降り、夏にぐっと気温が上がり、お盆過ぎにすっと涼しくなる…という、昔ながらの日本の気候なんです。近年の猛暑の影響もあって、以前より収穫量は減っているのが実情ですね。

さらに、収穫量が減っている理由は気候だけではない、と関さんは続けます。

関さん)最近は管理が行き届いていない山が増え、松茸の収穫が難しくなっている面もあります。山が管理されなくなると獣も出やすくなり、人が山に入れなくなってしまうためです。山を守ってくださる方や猟師さんがいてこそ、私たちは天然の恵みをいただけます。気候はもちろん、人が採集できる条件が整わないと、皆様にお届けするのは難しいのです…。

そのため、近年松茸小屋で振る舞われるのは、塩田平だけでなく、近隣の青木村や長和町で採れた松茸も多いそうです。

 

二幸園の歩みと、進化し続けるおもてなし

心ゆくまで、たらふく松茸を味わえる二幸園。驚くことに、その始まりはビニールハウスでの提供だったと伺いました 。そこから「松茸という高級品に見合うサービスを提供したい 」という強い信念のもと、お店は進化を続けてきました。

小淵)二幸園を始められたのは、どのような方だったのですか?

関さん)私の祖父です 。もともとは趣味の延長のような形でお店を開いたと聞いております(笑)。その後、叔父が二代目を継ぎ、私が三代目となりました 。祖父が始めた頃は、皆様がイメージする『松茸小屋』そのもので、エアコンもないビニールハウスで松茸を提供していました 。

関さんのご祖父様が始めたビニールハウスの「松茸小屋」は、三代目である関さんの手によって、大きく姿を変えました。

山際にある信州らしいロケーションにも関わらず、駐車場から店内まで段差なくアプローチでき、店内車椅子対応 。座敷風に整えられた店内は、足に負担の少ないテーブルと椅子席です。これも「松茸料理を家族みんなで味わってほしい 」「高級料理店として、サービスも愉しんでほしい 」という関さんの温かい想いが隅々にまで込められているからこそ。長年多くのリピーターに愛され続ける理由がここにあります。

関さん)松茸という高級な食材に見合うサービスを目指して、お店の設えやスタッフの接客も、日々質を高める努力をしています 。ぜひ、大切な方と松茸をお楽しみいただきたいです!

その言葉の裏には、スタッフと共に県外の名店へ研修を兼ねて食事に出向き、常に学び続ける謙虚な姿勢がありました。 こうした見えない努力が、二幸園様だけの特別なおもてなしを支えているのです。

その想いとおもてなしに惹かれ、二幸園様には全国からファンが訪れます。中には、お会計の際に来年の予約をされていくお客様もいらっしゃるほどだとか。

お店は完全予約制です。 訪れる際は、公式ホームページかお電話でのご予約をお忘れなく👀

◆二幸園さま2025予約ページ:

2025年 松茸料理開始日のお知らせ

 

二幸園直伝! 松茸を最高に楽しむ食べ方

めったに味わう機会のない、貴重な松茸。せっかくなら最高の食べ方で楽しみたいものです。関さんに、おすすめの食べ方を伺いました!(↓二幸園の松茸御膳)

小淵)ずばり、一番おすすめの松茸の食べ方を教えてください!

関さん)松茸の醍醐味は、なんといっても豊かな『香り』と繊維たっぷりの『食感』です 。その両方を存分に味わうなら、一番はやはり「焼き松茸」ですね 。ご提供する際には、ぜひ豪快に手で4等分に裂いて、しっかり火を通して召し上がってみてください

小淵)なるほど! もったいなくて、つい薄くスライスしてしまいそうですが、それでは本当の魅力を味わえないのですね。

太く裂くことで、松茸ならではの繊維質な歯応えを存分にお愉しみいただけます。まるでステーキのように贅沢にいただくのが、一番の食べ方。心得ました!

そして松茸なべは二幸園さんこだわりのたれで愉しむことができます。様々なお料理で松茸を堪能することができる機会ですので、ぜひ二幸園のコース料理をお楽しみください。

 

編集後記

信州の秋の贅沢、「松茸小屋」。
旬の香りと味を求めて、家族みんなで出かける時間は、何にも代えがたい幸せなひとときです。

近年、松茸の収穫量は減り、その存在はより貴重になっています。そんな中で、単に料理を提供するだけでなく、誰もが楽しめる「体験」としてその価値を高めること。それこそが、松茸を囲む家族の笑顔という文化を、未来へ、そして次世代へと繋いでいくための、二幸園様の答えなのだと深く感じました。

バリアフリー化を進めて、接客も一流サービスを提供したいと語る関さんの温かい気持ちに触れて、幸せな気持ちになりました。

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