2023.07.07
こんにちは。サンプロ新入社員のオブチです。
北斎連載企画第2弾として、今回は浮世絵の魅力に迫っていきたいと思います。
前回の第一弾では、小布施の岩松院さんを訪ねて、晩年の北斎についてお話を伺いました。
(前回のブログはこちら! 【北斎連載企画 vol.1 】「生きることは、絵を描くこと」 ー岩松院を訪ねて )
日本人なら誰もが知る浮世絵。
独特な雰囲気を持つ浮世絵は、国内のみならず国外でも人気です。
今回は松本市にある 日本浮世絵博物館 を訪ねて、館長の 酒井浩志さん にお話を伺いました。
酒井さんのご先祖は、江戸時代に松本で紙問屋を営んでおり和紙の販売を行っていた豪商でした。当時から酒井家には文化人が多く、「酒井コレクション」と言われる酒井家が所蔵する浮世絵版画
↑現在行われている企画展
毎度興味を引く内容の企画により、様々な浮世絵を楽しんで鑑賞することができる。
【日本浮世絵博物館企画展はこちら!】
当時の浮世絵はあらゆる情報を庶民に伝えるツールで、現在の新聞やチラシのような役割をしているものもありました。
歌舞伎役者や遊郭の美人絵などは ブロマイド のような存在で、有名人を一目見たいと思う庶民が浮世絵を買って顔を知ったり、さらに地方の人が江戸のお土産に買っていく人も多かったそうです。
浮世絵が生活のなかで、かなり身近な存在だったことがうかがえます。
版元とは、今でいう出版社のことです。
版元が企画を立て、その企画に沿って 絵師 が下絵を描き、彫り師 が下絵を木版に写して彫り、摺り師 が紙に摺り上げる。
版元は、その一連の流れをプロデュースしており、出来上がった作品を宣伝して販売しました。
その証拠に浮世絵版画には、絵師の名前とともに版元の名前やマークが記されています。
↑歌川広重「名所江戸百景 四ツ谷内藤新宿」
さらに、西洋の人にとって物珍しかった「侍」や「着物」といった日本独自の文化を視覚的に知れることが良かったとも考えられます。
↑葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
北斎の風景画は観光画としてシリーズ化されており、人気を博しました!
遊郭の遊女を描いた美人画などで知られる歌麿。
実は遊郭に入り絵を描けるというのは、なかなか レア なことだったそうです。
というのも、遊郭というのはとても贅沢な場所で、入るには博識であることも求められる場所でした。
つまり、絵師の中でも遊郭に入れる人は、選ばれし絵師だったということです!
庶民にとっては手の届かない場所であった遊郭にいる、話題の遊女の姿を見たいという人たちがこぞって歌麿の描いた美人画を見たのでした。
↑喜多川歌麿「北国五色墨 切の娘」
「北国五色墨」は新吉原で生きる女性達を描いた揃物。「切の娘」とは、こちらは最下級の遊女屋である「切見世」のこと。あどけなさ残る若い娘が描かれている。髪型や顔立ちからそれぞれの職業が的確に表現されている。
↑葛飾北斎「百物語 お岩さん」
↑葛飾北斎「百物語 笑ひはんにゃ」
百物語とは江戸時代に大ブームになった怪談ゲームです。
遊び方は、江戸っ子たちが夜な夜な近所の家に集まって、順番に1話ずつ怪談話をしていくというものでした。
ちなみに100話語り終えると、本物のお化けが現れるという迷信があり、99話で終わらせるのがお決まりだったようです。
北斎の「百物語」では、思わずゾクっとしてしまう 五枚のお化けの絵 があります。
よ~く見るとお化けたちが細部まで描かれており、近くで見るとより怖い作品になっています。
こちらは通常は日本浮世絵博物館に収蔵されていますが、長野県立美術館で7/1から始まる「葛飾北斎と3つの信州」にて展示されます!
ぜひぜひ夏の涼を求めて見に行かれてはいかがでしょうか……
↑歌川広重「東海道五拾三次 日本橋朝之景」
奥行きがあり臨場感ある構図になっている。この臨場感は庶民目線で描かれているところから来るのかもしれない。
東海道五拾三次で有名な歌川広重。
北斎は風景を直球でダイナミックに描くのに対し、広重は変化球のように独特な構図で描くことが多いです。
先ほどの馬のお尻が描かれた「名所江戸百景 四ツ谷内藤新宿」も「その構図で描くのか!」といった印象を受けますよね。
浮世絵博物館ではそんな浮世絵師たちの違いも見ることができますよ!
国外でもまだまだ浮世絵を知らない方は沢山います。展覧会の機会を増やし、浮世絵を知ってもらうような取り組みをしていきたいと考えております。浮世絵が日本に興味を持ってもらうきっかけになれば良いです。
彫り師、摺り師の職人が減少する現在、浮世絵を存続させるためには日本人が興味を持って文化を継承していくべきではないでしょうか。
「浮世絵って海外の人から人気そう」と思っていましたが、日本人としてまずは自分が興味を持つべきだったと反省の気持ちもありました。
日本で生まれたからには、自信をもって自国の文化を紹介できるように、理解している必要があります。
浮世絵の魅力が知れる「日本浮世絵博物館」にみなさんもぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
北斎企画第2回目は日本浮世絵博物館にて取材いたしました。
次回は、長野県立美術館にて7/1から始まった企画展「葛飾北斎と三つの信州」の見所をお聞きし、信州と芸術の関係についても探っていきたいと思います。
取材協力 :日本浮世絵博物館 酒井 浩志さま
執筆・編集:株式会社サンプロ 小淵
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