珈琲豆屋 ヤマとカワ珈琲店 川下康太さん
2021.06.18
くらしのレシピ
COFFEE MAKES THE DAY BETTER

珈琲豆屋 ヤマとカワ珈琲店 川下康太さん

いつもの生活にあるとちょっと嬉しい。そんなコーヒータイムを提案するコーヒー豆専門店のこだわり。

なくても困らないけど、あったら嬉しくなるものを

ヤマとカワ珈琲店 川下康太さん
長野市・権堂の路地に佇む、小さなコーヒー豆専門店。店主の川下さんの実直な仕事が、気どらない美味しさのコーヒー豆を作り出しています。

「わかりづらい場所なので、迷ったらお電話くださいね」
そう事前に案内してくれたのは、コーヒー豆専門店を営む川下康太さん。ご自身の名前と山好きであることに由来し名付けた「ヤマとカワ珈琲店」の店主です。
なるほど、長野市・善光寺界隈の細い路地をちょっぴり不安になりながら進むと見えてきた小さなお店。ここかな?と思い少しずつ近づくと、香ばしいコーヒーの香りとともに川下さんが出迎えてくれました。「こんにちは。今日は暖かいですね」と言う大きな笑顔に、こちらも思わず顔がほころびます。
お店に並ぶのは、コーヒーにまつわるアイテムや手ぬぐいなどのオリジナル商品。
そして、厳選された8種類のコーヒー豆のみ。

コーヒー豆
グアテマラやブラジルのほか、ディカフェやシーズンブレンドなど厳選した8種類のコーヒー豆。
手ぬぐい
毎年作るオリジナル手ぬぐい。富士見町で活動する「仕草」が染め上げた、ヤマとカワ珈琲店オリジナル。

シンプルでいてあたたかみのある店内には柔らかい春の陽気が差し込み、特等席のような窓辺には大きな焙煎機が鎮座しています。近所に住んでいるという川下さんは、朝7時から午前中いっぱい焙煎に時間を費やし、一度家に帰ってお昼ご飯を食べたあと、13時にお店をオープンさせるのだそう。
日々のなかで飲む一杯のコーヒーは、決して必需品ではなく、そっと側にあるものだと川下さんは言います。
「ガツンと強いものではなく、毎日飲める美味しいコーヒーを目指して焙煎しています。なくても困らないけれど、あったら嬉しい。コーヒーなんて、そのくらいでいいと思うんです」。そう言って川下さんは美味しそうにコーヒーを一口飲み、開店までの経緯を話してくれました。

焙煎
焙煎機。川下さんの一番の仕事道具。タイミングを見て火力を調節することで、ここにしかない味を生み出す。

大阪で生まれた川下さん。大学卒業後は大阪・名古屋で合計7年、建築資材メーカーで働いていました。「今思えば、消去法でいろいろと選択している生き方でした。暮らしと仕事も、あの頃は分けて考えていましたね。特別『これをしたい!』というものがあるわけでもなく、漠然と過ごしていました」
そんな川下さんは、30歳を前にし「なんとかして自分を変えたい」と一念発起。「自分で仕事を作り責任を持って長く続けられることは何かと考えた時、それは自営業であり、その時の最大の趣味だったコーヒーにまつわる仕事だったんです」
そうして自分のお店を持とうと考えていた頃、タイミングよく友人から長野の空き家情報が舞い込みます。
自分を変えたいという思いの強さに、すぐに名古屋から長野市に足を運んでいました。いくつかの物件を巡り、コストをあまりかけずにお店を出せると知った川下さんは長野市への移住を決意。移住の翌年には現在のお店をオープンさせました。
それから7年。川下さんは今日も、焙煎機の横に座りながら美味しいコーヒー豆を作り続けています。開店からしばらくの後には結婚もし、現在はお子さんも生まれました。「僕たちから買いたいと思ってくれることが嬉しいです」――。お話の中で「僕たち」という言葉を頻繁に使う川下さん。その些細な言葉の選び方に、仕事は暮らしの一部なのだと感じます。

鼻の奥を香ばしい香りがくすぐり、カップを口元に近づけ一口すすると、「いい日だなあ」とほがらかに思う。
楽しいことがあれば美味しいし、嬉しい気持ちなら美味しい。だから、コーヒーが美味しければ、今日はいい日。信州に越してきて以来、川下さんの日々には、確かに毎日をちょっと幸せにしてくれるコーヒーがしっかりと寄り添い続けています。

手拭い
丁寧に淹れたコーヒーで、日々をより豊かに。
サンプロブレンド
今日一日がちょっと素敵になるサンプロオリジナルブレンド「YAMA no Coffee」。
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